Project 1 (P1)
P1のロードマップ
はじめに
プロジェクト英語1(P1)では、各自が日常生活、クラブ活動等の関心事をテーマにプロジェクトを組み、英語でセルフアピールを行います。簡単なリサーチ、ディスカッション、プレゼンテーションのスキルを学んでいきます。オンライン環境を利用してグローバル世界に発信する第一歩を踏み出しましょう。
P1の到達目標
自分を中心としたプロジェクトの立ち上げと他者への関心
自分が現在何に対して興味・関心を持っているかを明確にし、セルフアピールというプロジェクトに落とし込むことができる。
他者のプロジェクトに関心を抱くことができる。
興味・関心の掘り下げ
セルフアピールに必要な情報を幅広いメディアから集め、その内容を簡潔に説明することができる。
収集した情報にもとづいて効果的なセルフアピールを行えるよう、適切な構成を考えることができる。
プロジェクト成果の口頭発表
プロジェクトの成果を基本的なアカデミック・フォーマットに沿って英語で口頭発表することができる。
自身のプロジェクトへの質問に対して英語で応答することができる。
他者のプロジェクトに関心を持ち、そのことについて英語で質問することができる。
Stage 1 プロジェクトとは何か (Week 1)
Stage 1-1 どんなクラス?何をするの? (Orientation)
このプログラムでは、学生の皆さんそれぞれが、自分の興味・関心に基づく「プロジェクト(Project)」を立ち上げ、それを実施します。「Projectとは」のページでこの「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」でどのような事を行って行くのかを確認しましょう。
Stage 2 自分を知り、他人を知ろう (Week 2)
Stage 2-1 「セルフ・アピール」とは
前期のP1の活動として、セルフ・アピールをテーマにプロジェクトを進めます。セルフ・アピールというのは簡単に言えば「自己紹介」です。ただし、ただ自分のことをつらつらと紹介するのではなく、自分が他人に自慢できること、誇れること、知ってほしいことを「アピール」できるようになってもらいたいと考えています。英語が上手い下手は関係ありません。自分を積極的にアピールし、自分のことをクラスの皆に知ってもらいましょう。
Stage 2-2 3分程度のミニ・セルフ・アピールをやってみよう
3分程度のミニ・セルフ・アピールをやってみよう。
自分をアピールできる物やパフォーマンスをミニ・セルフ・アピールに取り入れましょう。
マルチメディア・プレゼンテーションを目指しましょう。
プレゼンテーションにおいて、オーディエンス(聴衆)を意識することはとても大切です。いきなり人前で発表するわけですからとても緊張します。手や声が震えてしまうこともあるでしょう。でも大丈夫です。皆が同じ気持ちで、真剣にそれぞれのアピールを聞いてくれます。
英語の授業だからといって、英語でだけで説明しようとは決して考えないで下さい。言葉で説明するよりも、やって見せたり、実物を持ってきたり、一緒に体験したり・・・と、「言語メディア」だけに頼らない「マルチメディア・プレゼンテーション」を目指しましょう。その方が実はより分かりやすく、説得力やインパクトのあるアピールができます。
まずはやってみることから始めましょう。経験することでいろいろなことが見えてきます。思い通りにいかなかったからといって、決して「失敗」と思うのではなく、改善点があればそれを次の発表に活かすようにしましょう。発表の経験を積めば積むほど上手くなります。どんなに上手いプレゼンターも、生まれながらにして発表が上手な人なんていません。何回も何回も経験し、練習し、失敗し、その反省を次に活かし続けているからこそ上手になります。さあ、是非とも自分にしかできない、ダイナミックな3分間のセルフ・アピールをやってみましょう。
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Stage 2-3 プレゼンテーションのモデレーターができるようになろう (基本編)
他人を紹介できるようになりましょう。
プレゼンテーションのモデレーターに挑戦しましょう。
タイムキーパーにも挑戦しましょう。
プレゼンテーションのモデレーターとは、いわゆるプレゼンター(発表者)が発表を行う場を取り仕切る「案内役」のような役割を果たします。モデレーターの最大の役割はプレゼンターの紹介をすること(他己紹介)ですが、ここで重要なこととして、一言で「紹介する」と言っても、その方法には様々なやり方があるということです。すなわち、単に機械的に名前や発表タイトルを読み上げることも一つの紹介ですし、オーディエンスに強く印象に残るような、そして何よりもプレゼンターにとって「ありがたい」紹介をプロデュースするのも一つの紹介です。自分が他人を少しでも良く紹介することができれば、きっと他人も自分のことをよく紹介してくれるでしょう。
以下、プレゼンテーションのモデレーターの例を示します。質疑応答を含まない、基本的なパターンで、どんな場面でも使える表現です。
【モデレーター】
My name is Tsukasa Yamanaka. I would like to introduce Taro Tanaka. His/Her presentation theme is about football. (他の表現でもOK)
(ここで何か一言、二言、三言付け加えよう。テーマに関することでも、人柄に関することでも、聞く側にとって、プレゼンターのアピールになる情報を与えることが大切。)
Let’s enjoy his presentation. (Shall we listen to his presentation/Let’s look forward to watching …)
ここで、マイクを渡す(バトンタッチ)。
⇩
【プレゼンター(発表者)】
[発表をする。発表者は、必ず、Thank you for your introduction/Thank you, Tsukasa.等と言ってお礼を言おう!]
⇩
【モデレーター】
[発表が終わったら…][マイクをもらって]
Thank you for the wonderful presentation. Let’s give him/her a big hand. (他の表現でもOK)
限られた時間の中でプレゼンテーションを行うのは難しいです。発表者が自分で発表をしている間に時間を管理するのが難しいので、発表中はタイムキーパーもスムーズな運営には欠かせない存在です。以下、タイムキーパーの例を示します。
【タイムキーパー】
You have one minute left.
30 seconds remaining.
I’m sorry but the time is up. Will you wrap up your presentation?
Stage 3 ミニ・プロジェクトを立ち上げよう (Week 3-6)
Stage 3-1 ミニ・プロジェクトを立ち上げよう
P1では、プレゼンテーションの基本的なやり方を学びます。5分、8分と、比較的まとまった時間で発表ができる場合、パワーポイント等のプレゼンテーション・ソフトを使い、文字だけでなく、動画や写真等を積極的に組み込んだマルチメディア・プレゼンテーションを目指しましょう。
Stage 3-2 プレゼンテーションの基本的なやり方を学ぼう
プレゼンテーションとは何でしょうか。いろいろな説明があると思いますが、一言で言えば、「message-drivenであったかどうか」が問われます。つまり、プレゼンテーションの中に明確なメッセージ、つまり「伝えたいこと」があり、それがdriven、つまりオーディエンスに(しっかりと/ある程度)伝わったかどうか、ということです。そのためには、プレゼンテーションを構築する前に、自分がこの発表を通して、オーディエンスに何を伝えたいのか、そのメッセージについて真剣に考えてみることが大切です。「◯◯のことをみんなに知ってほしい」というのももちろん立派なメッセージです。しかしそれでは少し弱いかもしれません。ただ「知ってもらいたい」のではなく、「□□を身近な問題として認識し、今日からでもできることをやってもらいたい」とか、少しでも発表をメッセージ性の強いものにできると、アピール力はそれだけぐっと高まります。
また、いくらプレゼンテーションそのものにメッセージがあっても、それを伝える「伝え方」が十分でないと、せっかくのメッセージがオーディエンスに届きません。考えられる可能な限りの工夫を試みましょう。
入念に何回も練習すること
なるべく原稿を見ないで、オーディエンスの方を見て発表する
堂々とオーディエンスに語りかける
発表の間にオーディエンスに問いかける等、様々なインタラクションを組み入れて、オーディエンスを巻き込んだ発表を目指す
アイコンタクトを意識する
スライドはポイントだけを載せ、分かりやすくする
重要なことは繰り返す 等
Stage 3-3 リサーチの切り口を考えよう
「オリジナリティ(originality、独自性)」と「エビデンス(evidence、証拠)」を発表に取り入れましょう。
自分なりの分野、自分なりの切り口(視点)、自分なりのデータを考えましょう。
インターネットを調べたり、図書館に行って本を読んでまとめたりすることから始めましょう
なぜ自分がそのリサーチに取り組むのかを考えてみましょう
皆さんはP1を通して、リサーチやプレゼンテーションに取り組みます。実際の活動を通して、リサーチやプレゼンテーションを経験し、リサーチやプロジェクトについて学ぶことになります。プロジェクトとはで触れたように、広義のプロジェクトには深遠で広大な意味世界があり、その定義は多様です。ここではプロジェクト活動の重要な一角を占める、「リサーチ」についてヒントを述べておきたいと思います。
リサーチとは、大きく分けて、「調べる」部分と「深める」部分に分けられると思います。そして「リサーチ」を「研究」と訳すこともあることから分かるように、世界中の一流の研究者が行っている研究活動もまた、「リサーチ」と称されます。本格的なリサーチに必要とされる重要な2つの要素は、「オリジナリティ(originality、独自性)」と「エビデンス(evidence、証拠)」だとされます。リサーチには、自分なりの分野、自分なりの切り口(視点)、自分なりのデータがあり、それを基にした研究プロジェクトは、必然的に皆の関心を惹きます。もちろん、初めから「自分にしかできないこと」が見つかるわけもなく、インターネットを調べたり、図書館に行って本を読んでまとめたりすることから始めることはとても重要です。
なぜ自分がそのリサーチに取り組むのかを考えてみましょう。自分がそれを調べる必然性はあるのだろうか、他の人ではない、自分がやる意味は何だろうかと考えるのです。自分が取り組む意義が定まることで、自分なりの視点が見えてくることがあります。多くの資料やデータから、自分なりのまとめ方でポイントを整理していくことも、リサーチを「深める」ことにつながります。
プロジェクト活動、リサーチ活動を単なる「一授業での取り組み」と考えずに、自分の人生に役立ち、活かすことができるとても良い機会だと考え、「意味あること」をして下さい。こうしたリサーチの経験、プロジェクトの経験は、それが直接的に役に立っていないとしても、間接的には必ずや皆さんの人生の糧になるはずです。
Stage 3-4 マルチメディアを使ったダイナミックなセルフ・アピールを学ぼう
プロジェクトの発信は言語メディアだけに頼らず、マルチメディアを駆使した皆さん独自のアピールを目指しましょう。パワーポイントやキーノート等、プレゼンテーション・ソフトを用いた発表を強く勧めます。プレゼンテーションに慣れることで、発表は誰でも上手くなりますし、ソフトの使い方も分かってきます。まずは経験してみましょう。
タイトルのスライドを準備し、自分の所属や名前等をしっかり記す
サブタイトルも付けることで、発表の内容がオーディエンスにより分かりやすく伝わる
発表の概要を記した「アウトライン(Outline)」のスライドも用意する
タイトル、アウトラインをしっかりと伝えることで、オーディエンスは発表者の内容を予め把握することができ、その後の発表内容の理解が深まります。
Stage 4 5分程度の中間プレゼンテーションをやってみよう (Week 7-11)
Stage 4-1 中間プレゼンテーションをやってみよう (Week 7-8)
中間プレゼンテーションは、5分程度で自分のミニ・プロジェクトを英語で報告するもので、いわゆるフォーマルな発表を意識した本格的なプレゼンテーションの入り口となるものです。
画像、動画、音声、実演、実験、図表、写真等、様々なマルチメディア素材を駆使して、オーディエンスの五感に訴えるプレゼンテーションを目指しましょう。
モデレーターとタイムキーパーを選出し、会を進行できるようにしましょう。
(質疑応答を行う場合は、質疑応答の練習もしておきましょう。)
プレゼンテーションが上手くなるための最大の方法は練習以外にありません。本番となるべく同じシチュエーションを準備し、何度も練習することで、自分が理想とする発表に近づけて下さい。目線が下がって「読んでいる」と思われることは、プレゼンテーションの価値を下げます。重要なこと、ポイントはプレゼンテーション・ソフトに書いてあるはずです。なるべく発表用のスライドと、オーディエンスを交互に見るよう意識し、手元の原稿は困ったときにだけ見るようにしてみましょう。
なお、3分のセルフ・アピールの発表と同じく、言語にだけ頼るような発表は避けましょう。オーディエンスからしたら、言葉だけが流れてしまい、理解が追いつかないのと同時に、魅せるプレゼンテーションではないため面白くありません。画像、動画、音声、実演、実験、図表、写真等、様々なマルチメディア素材を駆使して、オーディエンスの五感に訴えるプレゼンテーションを目指しましょう。それが皆さん自身の発表のオリジナリティー(独自性)に繋がります。
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Stage 4-2 質疑応答を含んだプレゼンテーションのモデレーターができるようになろう (応用編)
次に応用編として、質疑応答を含んだモデレーターについてもできるようになりましょう。なおモデレーターの役割は、単に発表者を紹介し、質疑等と取り仕切るような、言わばプレゼンテーションを「捌く」だけの役割ではないことを理解して下さい。モデレーターはプレゼンターを時に助け、場を盛り上げることで、プレゼンターの発表が成功するようにサポートすることが最大の使命です。「◯◯さんがモデレーターで良かった」と発表者に思ってもらえるよう、できる限りのサポートを自分で考え、自律的かつ即座に行いましょう。
例えば以下に質疑応答の例を示しますが、オーディエンスから質問が出なかった場合、せっかくプレゼンターが頑張った発表が白けてしまいます。そうした際は積極的に自分から質問を投げかけたり、オーディエンスを指名して質疑応答を促したりと、その場に応じた臨機応変の対応ができることが望まれます。また冒頭のプレゼンターの紹介の箇所でも、例えば今回のプレゼンターの発表内容がややオーディエンスには馴染みのないものであった場合、それと関連のある話をすることで、オーディエンスの理解を助け、興味を引きつけることで、プレゼンターのサポートとすることもできます。
プレゼンターが少しでも安心して、そして発表が成功するように、尽くせるだけの手を尽くしてサポートする、それがモデレーターです。そんな理想形を目指して、「良い」モデレーター、「指名されるような」モデレーター目指しましょう。
【モデレーター】
My name is Tsukasa Yamanaka. I would like to introduce Taro Tanaka. His/Her presentation theme is about football. (他の表現でもOK)
(ここで何か一言、二言、三言付け加えよう。テーマに関することでも、人柄に関することでも、聞く側にとって、プレゼンターのアピールになる情報を与えることが大切。)
Let’s enjoy his presentation. (Shall we listen to his presentation?/Let’s look forward to watching …)
ここで、マイクを渡す (バトンタッチ)。
⇩
【プレゼンター(発表者)】
[発表をする。発表者は、必ず、Thank you for your introduction/Thank you, Tsukasa.等と言ってお礼を言おう!!]
⇩
【モデレーター】
[発表が終わったら…] [マイクをもらって]
Thank you for the wonderful presentation. Do you have any questions? (もし質問が出なかったら、) Now I have a question. (他の表現でもOK。内容に関する質問をする。この質疑応答を通してプレゼンの内容がさらに深められれば理想的。)
Thank you again for your great presentation. Let’s give him/her a big hand. (他の表現でもOK)
Stage 4-3 質疑応答の仕方を学ぼう
質疑応答は積極的に行いましょう。せっかく一生懸命に発表しても、一つも質問がないと場が白けます。質疑応答とはコミュニケーション活動の一つと考えましょう。質問者は必ずしも鋭い質問をして、発表者の隙をついたり、発表の足りないところを指摘する必要があるわけではないのです。オーディエンスとして聞いていて分からなかったところ、速すぎて聞き取れなかったところ、またそもそもさっぱり理解できなかった箇所など、積極的に質問してもう一度説明してもらいましょう。再度説明を求めることは失礼でも何でもなく、発表者は喜んで説明を繰り返してくれるはずです。発表者にとって一番関心のあることは、オーディエンスが自分の発表に興味を持ってくれるかどうかなのです。
全く質問が出ないことは、オーディエンスが全く自分の発表に興味を示してくれていないのかと発表者を不安にさせます。あまりに素晴らしい発表であったり、説明が自分の理解を超えていたりした場合、なかなか咄嗟には質問が思いつかないと思います。そうした際は、質問ではなく、コメントをしましょう。自分がその発表を聞いてどう思ったか、何を感じたか、何が参考になったか/勉強になったか・・・等、コメントをすることで発表者もさらにコメントを返し、コミュニケーションが生まれるでしょう。
また、一つの礼儀として、質問者が質問を始める前には、いきなり質問を切り出すのではなく、発表に対するお礼や肯定的なフィードバックをすることが良いでしょう。海外の学会等ではとくにこの傾向が見られますが、質問者も、その他のオーディエンスも聞いていて気持ちのよいものです。「必ずお礼をしてから質問を始める」ことは良い心がけだと思います。
なお質疑応答が活発でない場合、モデレーターや総合司会者(Chair)が皆さんを指名することもあるでしょう。そうした際、なかなか質問をいきなりするのは難しいかもしれませんが、ずっと黙っていて場をやり過ごそうとしたり、No question.とだけ言って指名を断ったりするのはやめましょう。こうした行為は場を大変白けさせると同時に、発表者が気分を害します。さらに、指名された皆さん自身が「この人は発表を聞いていなかったのではないか?」と思われてしまいます。指名された場合は必ず何かコミュニケーションを返すようにしましょう。
【質疑応答の例】
[質問をする前に]
Hi, my name is Tsukasa. Thank you for your wonderful presentation, Taro. I was able to know how important X is for Y. (他の表現でもOK。内容に関して学んだことや良かった点に触れると良い。) You said X is … . Let me ask you a question. (内容に関する質問をする。この質疑応答を通してプレゼンの内容がさらに深められれば理想的。)
[返答をもらったら]
It must be… . (返答に対してのリアクションを行う。) Thanks, Taro. (返答に対するお礼を伝える。)
Stage 4-4 自分のセルフ・アピール:中間発表を振り返ろう (Week 9-11)
P1のテーマであるセルフ・アピールをいかに効果的に行うことができるか、これはとても重要なプレゼンテーション・スキルです。「言語メディア」にだけ頼らず、多メディアを駆使したダイナミックな発表は、英語を使った発表を軽視するわけではありません。むしろ逆です。何でもかんでも言語で説明すると、言語を使った説明が当たり前になり、言語メディアとしての価値は逓減します。もちろん、言葉を使ったほうが伝わりやすいものはたくさんありますし、その場合は言葉を使って伝えるべきです。
しかしその一方で、映像や匂い、音声を用いて、感覚に直接訴えかけた方が効果的なものもたくさんあります。その「使い分け」が重要で、必要に応じて効果的に言語を用いて説明した方が、むしろ説明にメリハリが出てきます。映像を主として用いる発表で、適切に言語を用いて説明を補う場合など、この場合の言語は「脇役」ですが、非常に効果的な言語の使い方になるわけです。適材適所で「適メディア」を用いるべきで、「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」も英語を使った発信の効率性や重要さを軽視しているわけでは全くないことは強調しておきたいと思います。
ここでは効果的なセルフ・アピールを行うためのスキルとして、もう一つのポイントを説明しておきたいと思います。それは徹底的にオーディエンスの立場に立ってプレゼンテーションを考えることです。セルフ・アピールは、一歩間違うと「(単なる)自慢」となり、「独りよがり」な発表となります。いわゆる「自己満足」的な行為です。これは避けるべきです。オーディエンスも愉快ではありません。その一方で、先述した通り、アピールは多様性に富んだ方が良いわけで、様々なマニアックなアピールがなされることは場を大いに盛り上げます。ではどうすればマニアックな内容をオーディエンスは楽しく聞いてくれるでしょうか。
プレゼンテーションとは、「発表という行為を通して、相手の認識を変える」ことです。自分が説明することで、相手が理解してくれたり、納得してくれたり、上手くいけば反対だった意見を賛成に変えてくれたりできるわけです。こちらがある情報を提供し、相手がその情報を得ることで知識が増えるというのも、一種の「相手の認識を変える」行為です。これがビジネスの分野になれば、プレゼンテーションは一種の「売り込み」であり、これによって相手が「物を買う」、すなわち「売り上げにつながる」わけです。この意味で考えるならば、プレゼンテーションをすることで、「確かにそういう考えもあるな」、「100%納得はできないし、同意もできないが、(少しは)興味が持てたな」といかに相手に思ってもらえるかが重要なわけです。
自分がいくら◯◯が大好きだ、◯◯はすごいんだ、と語ってみたところで、それが相手の認識を変えない限り、「ふーん」、「だから何?」となってしまい、プレゼンテーションとしては失敗に終わってしまいます。「だから何?」を英語で言うと、 “So what?” となり、これはかなりきつい言い方です。
自分のプレゼンテーションには聞く価値(意味/意義)がある、聞いておいて損はない、とオーディエンスに思ってもらうにはどうしたら良いでしょうか。もっと言えば、どうしたら「独りよがり」と思われないプレゼンテーションができるのか、ポイントは、自分の発表内容に可能な限り客観性を持たせることです。つまり、自分だけがそう思っているわけではないという「データ」をいかに示すことができるのか、そうした「エビデンス(証拠)」をできるだけ準備するがとても重要になります。「△△が好きだ、だからすごいと思う」、ではなく、「△△は自分も好きだが、□□のランキングで◯位にランクインしている。また著名な☆☆も次のように評価している・・・」など、なるべく客観的なエビデンスを多く用意することで、結果的に自分の主張に説得力が増します。もちろん主観的な評価や価値判断もあって構いませんし、そういった「熱意」も時には大きく物を言います。相手を動かすわけです。
そしてもともとのプロジェクトのモチベーションとして、「好きだから取り組む」、「興味があるから調べる」で全く構わないのですが、プレゼンテーションとして考える際、相手が納得しやすいような「ストーリー」をいかに構築できるか、そのためにエビデンスをいかに用意できるかは大変重要な要素です。
Stage 5 8分程度の最終プレゼンテーションをやってみよう (Week 12-14)
8分間のプレゼンテーション活動を通して、セルフ・アピールをしましょう。
モデレーターとタイムキーパーを選出し、会を進行できるようにしましょう。
質疑応答も行いますので、質疑応答の練習もしておきましょう。
P1の最終到達点は、8分程度で自分のミニ・プロジェクトのプレゼンテーションをすることです。P1は原則として個人でミニ・プロジェクトに取り組みますので、8分もの長さを英語で発表できないかもしれないと初めは思うかもしれません。実際は8分はとても短い時間で、自分が取り組んできたプロジェクトのほんの一部しかオーディエンスに伝えることはできないでしょう。自分のミニ・プロジェクトで一番伝えたいことは何か、何を皆に分かってもらいたいのか、聞いてもらいたいのかを考え、時間配分を上手く行うことが大切です。練習が重要なことは言うまでもありません。
また既に述べている通り、P1の最終発表はあくまで時間的な区切りであって、皆さんのプロジェクトがそこで完結するわけではありません。最終発表の時点までで考えたこと、取り組んだこと、分析・考察したこと、調査したこと等を報告し、まだ取り組めていないことについては、今後の課題として述べればOKです。P1の一番の目標であり、ポイントは、こうしたプロジェクト活動、プレゼンテーション活動を通して、セルフ・アピールができているかどうかです。初めからプロジェクトで「すごい」成果があがらなくても気にする必要はありません。自分のメッセージを皆に堂々と発信して、それがある程度伝わっていれば目標は達成したことになります。
最終プレゼンテーションの後には簡単な質疑応答があります。ぶっつけ本番の質疑応答は、思ったように英語が出てこず、オーディエンスからの質問に上手く答えられないかもしれません。しかしたとえ英語が苦手で、話すことが得意でなくても、自分のプロジェクトの内容です、必死に質問に答えることに挑戦しましょう。初めはうまく返せなくても、何度もこうした経験を繰り返すことで、いずれは質疑応答にも対応できるようになります。
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Stage 6 自分のセルフ・アピールを振り返ろう (Week 15)
最終プレゼンテーションの成果をTerm paperとしてまとめましょう 。