Project 4 (P4)

P4のロードマップ 

はじめに

P4ではAdvanced Project(研究プロジェクト)を行います。研究プロジェクトとは、仮説(リサーチクエスチョンを立てます)を検証するために調査や実験を行い、結果を得る研究そのものです。個人またはグループでこのプロジェクトを行い、academic writingの様式に従って1人1500-2000wのTerm paperを書きます。文献や関連書物を読んで、自分が研究したい分野においてこれまでに分かっていること(先行研究)を調べ引用文献として入れます。研究の結果、新しい発見が期待されますが、必ずしも仮説通りの結果がでるとは限りません。そういった場合でもなぜ思い通りの結果にならなかったのか、結果を自分なりに分析します。P4での学びは上回生になり研究室に配属され、自分の研究を行うようになってから必ず活きてきます。1人1500-2000wは大変ですが、真摯に取り組めばとてもいい研究 Term paperになります。頑張りましょう。

P4の到達目標

アカデミック・ライティングとは

アカデミック・ライティングとは、英文エッセイとは異なります。誰に向けて(audience), どんな目的で(purpose)書くのかが重要です。自分が行った研究や調査を読む人を想像しながら、分かりやすく、論理的かつ客観的に記述しなければなりません。そのためにはリサーチペーパーの決まりごと(構成、内容、必要な表現)を知り、それに沿った書き方をします。ここでエッセイとリサーチペーパーの違いをはっきりさせておきましょう。

エッセイ=自分自身の経験に基づき、その経験に対する自分の考えや感想を述べる文章(自分のことを直接書く文章)

リサーチペーパー=与えられている事実・意見の引用に基づき、その事実・意見に対する自分の判断の正当性を根拠を挙げて説明する文章(自分のことを直接欠かない文章)

つまり、主張に対して根拠を示すことで説得力のある内容にします。そのため、正しい「引用」の仕方が大事です。P4ではこのような客観的な英文の書き方、引用の仕方を学びます(NaviのP2 または「引用と参考文献の一覧」も参照してください)。

Term Paperを書く準備をしよう

1. プロジェクトのタイプ

プロジェクトには、基本的に「調査分析型」「実験型」「サーベイ型」「チェレンジプロジェクト型」などのタイプ(もしくはこれらの混合タイプ)があります。

「調査分析型」あるトピックについて情報を収集し、知見や洞察から結果を導き、それを発表するタイプのプロジェクトです。先行文献を比較したり、調べもの学習から一歩進んで「自分で結果を考察する」姿勢が大事です(過去のJP1における調査型プロジェクトの例 1.卵の殻が持つ物質としての新たな可能性について。2.人間の小指がどんどん短くなっている現象は、生物学的には進化なのか退化なのか?など)。実験で仮説を実証する場合は「実験型」(例:クロロゲン酸を含む植物(タンポポなど)からコーヒーに近い飲料を作れるか)、P2で学んだアンケートやインタビューなどを行う「サーベイ型」もあります。自分で立てた目標に基いてプロジェクトを行ったり何かを開発するなどの「チャレンジプロジェクト型」などがあります。(P2 Stage 1-1「より発展したプロジェクトを立ち上げよう」も復習しておきましょう。)P4では個人もしくはグループでプロジェクトに取り組みます。多くの科学的研究では、グループ研究が多いからです。

2. テーマを深める

自分の取り上げたいテーマがある程度見えてきたところで、次にそのテーマの深め方を探ります。自分のテーマについて、様々な角度から検討することにより、テーマが深まり、アカデミックライティングの構成材料を準備することができます。テーマを絞るときに、アイデアを思いつくままに書き出し、興味が持てそうなテーマを焦点化していくFree writingやMind Mappingや、テーマが決まっていても何について述べたらよいのかはっきりしない場合にCubingといった方法があります。友達やクラスメートに自分のアイデアを話して客観的な視点をもらうことも大事です

Term Paperを書こう

1. Term Paperの基本的な構成

P4で取り組んだ内容をTerm paper(1人1500-2000w)にします。基本的な3つのタイプ「調査分析型」「実験型」「サーベイ型」のTerm paperの構成 は以下のとおりです。P4の最終ぺーパーは1500〜2000ワードでそのうち序論(Introduction):全体の10-20%, 本論(Body):全体の80%, 結論(Conclusion):全体の10-20% になるようにしましょう。

2. Term Paperの基本的な内容

1 Title(題名)とSubtitle(副題)

Term paperの題名はとても重要です。読者に興味をかき立てるように、Term paperの内容を端的に表した題名にします。

追加的な情報があるときには、副題(下記の例の ;以下)を付けます。

(例)The Ultimate History of Video Games - From Pong to Pokemon and Beyond; The Story Behind the Craze That Touched Our Lives and Changed the World

2 Abstract(論文の要旨)注:Abstractは最終提出課題の文字数にカウントされません!

このTerm paper(研究)の概要を書きます。読者はこの部分を読むだけで内容がわかると言われるだけに重要な箇所です。この研究の主題や目的とその重要性、導き出された結果について簡略に書きます。研究の目的や分野に応じて盛り込まれる内容は多少異なりますが、以下のような内容を書きます。(通常、要旨はpaperが書き上がって最後にまとめとして書きます。)

なお、アブストラクト作成支援ツール「あぶすと!」も使ってみるとよいでしょう。ここにも多くの使える表現が載っています。

[調査分析型]

[実験型・サーベイ型]

3 Introduction(序論)

Term paperの目的や、何を明らかにしようとしているのか「問題」を提示しTerm paper全体の構成を示す導入部です。これまでにされた研究(先行研究)を示し、本研究がそれらとどう違っているのか「切り口」を示す箇所でもあります。Term paperの全体の構成や流れもできれば示しましょう。

 Introductionに使用される表現

重要性を示す表現

過去の研究を紹介する

まだ分かっていないことを提示する

研究の目的を示す

Introductionの概略をつかみましょう


Introduction of a Research Paper.mp4

4 Main Body(本論)

本論では議論を展開します。通常2-3のパラグラフで構成されます。「調査分析型」では、重要な発見や結果を順序立てて述べ、「実験型」や「サーベイ型」では実験の方法や手順 (Methods)、その結果をデータで示し(Results)、議論(Discussion)します。特に「実験型」や「サーベイ型」では、Discussionで研究目的に対してどのような結果が得られたか、予想した結果だったかそうでなかったか(そうでなかったらどうしてなのか)を説明する大事な部分です。

各パラグラフ(パラグラフ内は同じ流れ)は以下のような構成です。

[調査分析型]

[実験型・サーベイ型]

Paragraphとは?

ビデオを見て復習しましょう。詳細はP2を参照してください。

P4-05-What is a Para.-Short.mp4

 Body paragraphsに使用される表現

実験の方法など

結果を示す

図や表を説明する (論文中の図表を引用するときは現在形です)

結果を説明する

最終結論を述べる

5 Conclusion(結論)

研究の目的と意義、本論で議論した内容など研究全体を簡潔にまとめます。本研究で示せなかった限界(Limitation)や将来の研究についても言及します。期待どおりの結果でなくてもなぜそうならなかったのか研究のLimitationを示すのはとても意味のあることです。また結論部分では、序論との論理的な整合性に注意しましょう。

Conclusionに使用される表現

今回の研究の成果を示す

今回の研究の限界を示す(将来の研究に期待)

P4ペーパーのサンプル

以下はサンプルですが、2019年度より、P4の優秀ペーパーを『PEP Journal』に収録しています。ぜひ参考にしてください。

02-Moonwalk Research Paper Instructions日本語解説つき.pdf

実験型サンプルペーパー 

Moonwalker

06-Pokemon Go Research Paper with Survey Instructions_Japanese.pdf

サーベイ型サンプルペーパー

Pokemon

参考図書